to index
index > 資料館② 褒め方・叱り方・教え方編

資料館② 褒め方・叱り方・教え方編

  • 「褒める」と「叱る」は車の両輪です。褒めることは、相手に自信と勇気を与え、立派な方向へ導きますが、これだけでは甘えを生じさせ、増長させる虞があります。叱り言葉は本人の反省を促し、改善努力に努めさせるが、これだけでは畏縮させかねません。
  • 空手指導者は、空手の稽古を通じて、全ての道場生が実力をつけるだけの知恵、知識や技能や人格を身に付けるよう育てる責任があります。
  • また、将来の極真空手のため、師範・先生・先輩から受け継いだ多くのノウハウも後進に伝えねばならず、「上手な教え方」が切望されるところです。
  • 【褒め方】
  • 「やさしさの溢れる慈愛の眼差しで相手を見守る」「愛情のこもったほめ言葉をかける」ことは、相手の幸福を願うお布施であり、自分の人間修業にもなります。自信をもって相手の長所を発見する努力が必要です。どうしても相手の欠点や短所が眼につきやすいものです。
  • それには「できて当たり前」と考えないことです。相手の能力に見合った尺度で評価しながら「褒めるか否か」を考え、少しの美点や進歩でもほめる心がけが大切です。
  • 大きな進歩や成果だけを褒めようとすれば、必然的に褒め言葉は少なくなり、相手は意欲を喪失しがちです。逆に、小さなことでも褒められれば自信が湧き、意欲的に努力することになり、結果的に大きな成果を収めることが多くなります。「はじめに褒め言葉ありき」です。
  • 感謝の言葉の後に具体的に褒めることが大切です。感謝の言葉「ありがとう」の後に、具体的に褒めることで、相手も納得して心から喜んでくれます。
  • 成果だけでなく、過程や努力も評価します。物事には運不運もあり、有利不利もつきものです。
    広い視野で多角的に評価してくれるからこそ、困難や不利に挑戦する闘志も湧き、創意工夫への熱意ももてるのです。
  • 初心者・弱者ほど過程や努力を重視します。努力や成長を認められれば、次こそはと発奮せざるを得ないのが人情です。逆にダメ扱いされれば、ますます自信喪失となってしまいます。
  • 褒め言葉に評価を反映させることが必要です。非常に大きな成果や目覚しい成長ぶりの場合は「大変立派だ」などの最上級の表現で褒めます。それほどでなくても相当な成果なら「なかなかいいね」など中級のほめ言葉で、小さな成果なら「上達したね」など自然な言葉で褒めます。
  • 褒めただけで終わりにせず、激励や期待の言葉を付け加えるのが効果的です。これはテクニックではなく、まごころがこもってなければなりません。
  • 言葉だけでなく、身体全体で褒めます。眼や口元の笑みでほめます。しぐさやゼスチュアで褒めます。握手や肩たたきなどのスキンシップで褒めます。
  • その時、その場ですぐ褒めます。後で報告を受けたら、すぐ褒めます。忘れていても思いついたとき、すぐ褒めます。
  • 次の課題や改善点も指摘しながら褒めます。少し困難な課題や改善点を示すことで、相手はほめ言葉を喜んだだけでなく、実力を認めてくれているという実感がわきます。
  • 課題や改善点を相談的に示されれば、意欲も高まらざるを得ません。
  • 第三者を介して褒めます。物品を与えて褒めます。人前で褒めます。
  • 期待・激励の言葉で奮起させます。期待する内容を明確に伝えます。相手の状況や個性に応じた激励の言葉を多くします。言葉を吟味すれば激励の効果は抜群です。
  • 明るい表情で、まごころの裏づけのある、心からのねぎらいが大切です。
  • 褒め言葉の使い方5つの公式
    公式1 褒め言葉単独型   ○型
    公式2 褒め言葉+期待・激励型   ○+○型
    公式3 叱り言葉+褒め言葉型   ×+○型
    公式4 褒め言葉+叱り言葉+褒め言葉型   ○+×+○型
    公式5 質問+相手の回答+褒め言葉型  Q+A+○型

    おせじ褒め言葉の違い

    お せ じ

    口 先 だ け
    心に思っていないこと
    声に力が乏しい
    表面づらだけ
    抽象的になりがち
    空しさが残るだけ

    褒 め 言 葉

    心 か ら
    心に思ったことだけ
    相手の胸に響く
    長所や言動を見つめて
    具体的に言える
    相互交流が深まる
    【叱り方】
  • 叱ることは、愛であり、責任です。「可愛くば五つ教えて、三つほめ、二つ叱って、よき人とせよ」
     二宮尊徳の言葉です。叱りを伴わない愛は「猫可愛がり」です。これでは「よき人」は育ちません。
  • 「ほめも叱りもしない管理者は度し難い」土光敏夫の言葉です。3つのず「褒めず」「叱らず」「教えず」で見捨ててしまう無責任では、指導者失格です。3つの気「根気」「(叱る)勇気」「(褒める)育てる気」で手塩にかけて育てる気持ちが大切です。
  • 「叱られ上手」3つの言葉。まず「期待されているからこそ叱ってもらえる」と感謝し、叱責を受け入れる姿勢を示します。「よくわかりました」「これから気をつけます」「またご指導お願いします」の3つの言葉と心を返します。
  • 相手によって叱り方を変えます。「人に見て法を説け」と言われますが、相手の人間的成熟度と「指導者と相手の間の親密度」を判断基準にします。
  • 叱り分けの3領域
    未熟領域
    相手の人間的成熟度 低
    指導者と相手の間の親密度 低 優しい慈母の叱り
    中間領域
    相手の人間的成熟度 中
    指導者と相手の間の親密度 中 親友の忠告
    成熟領域
    相手の人間的成熟度 高
    指導者と相手の間の親密度 高 厳父の叱責
    叱り分け方法
    未熟領域
    中間領域
    成熟領域
    ほめる○→叱る×→ほめる○
    叱る×→ほめる○
    叱る×
    サンドウィッチ方式
    アベック方式
    ソロ方式
    ×(叱る×→ほめる○→叱る×)
    ×(ほめる○→叱る×)
    バカの一言でも通じ合える
  • 「自分も至らなかった」の心、「情」のある叱り方を心がけます。相手だけを責めないで、「情のこまやかな」叱り方を心がけます。同じ土俵で生きる仲間の気持ちで叱ります。「居丈高に叱る」「声高に叱りつける」「バカ呼ばわりする」「ボロクソにいう」「感情にまかせて叱りまくる」「長々と説教する」などは、第三者の目にも見苦しい。
  • 「叱り方の3変法」で冷静に叱ります。感情的な状態では、結果的に相手に反発させたり、自信を喪失させてしまいます。
  • 1.場所を変えます(静かな場所)。2.時を変えます(冷却期間)。3.方法を変えます(文書など)。
  • 人前で叱らず一対一で叱ります。恥をかかさない。メンツをつぶさない。反発心を起こさせない。
  • 相手が能力や実績に自信を持っており、性格的にも陽気で負けず嫌いならば、叱られた悔しさや恥ずかしさをバネにして発奮してくれると思います。このような人物が叱られているのを見て全体が引き締まる場合もあります。
  • 大きな罪だけでなく、小さな罪も叱ります。大きな罪は厳罰が鉄則ですが、本人も自覚しているようなら、寛大な処置に留めて、やさしく叱って再起を見守ってやるべきでしょう。
  • 小さな罪も叱ってやらなければ気付かないままになってしまいますが、奨励形の叱り方をします。
  • 叱る前に事実をよく確認して、全人格的に叱らずに、事実だけを叱ります。
  • 言葉は温かく、叱るべきことは叱ります。相手の心を温め、育てる言葉でなければなりません。
  • ボディランゲージで、柔和な感情や落ち着いた雰囲気を作り出します。
  • 相手の言い分も聞きながら、小さな嘘は見逃して「逃げ道」を作り、トドメを刺さずに叱ります。
  • 心に沁みる叱り言葉を工夫します。言葉の優しさは心の優しさです。
  • 禁止形で叱らずに奨励形で叱ります。「するな」と言わず「しよう」と呼びかけます。命令せずに温かく叱ります。叱りつけず納得させます。
  • 「禁止形」と「奨励形」の違い
    禁止形
    奨励形
    消極的になりやすい
    積極的になりやすい
    権威主義的雰囲気
    仲間的雰囲気
    どうすればよいか不明
    どうすればよいか明確
    反発を感じやすい
    信頼感が形成される
    「命令」に聞こえやすい
    「激励」に聞こえやすい
  • 「叱り方のサンドイッチ方式」で叱ります。最初に長所をほめて心を開かせ、相手の受け入れ準備ができたところで叱ります。再度のほめ言葉や激励で締めくくります。
  • 叱り方の5段階

    段   階
    叱り方


    第1段階
    ほのめかす
    稽古中に明らかに手抜きする生徒に「体調はどうだ?」

    第2段階
    助言する
    「サボってばかりでは、皆に遅れてしまうよ」

    第3段階
    指示する
    「できることでいいから、少しずつ頑張りなさい」

    第4段階
    叱責する
    「いつまでサボっているんだ。一生懸命して欲しいね」

    第5段階
    処罰する
    「目に余る状態だから、正座して見取り稽古をしなさい」
    叱りの説得術7段階
    第1段階
    相手の心を開かせ、用件を切り出す
    第2段階
    相手の意見や主張を聞きつくす
    第3段階
    当方の意見や主張を述べる
    第4段階
    双方の意見の対立点・相違点を明らかにする
    第5段階
    当方の意見の正当性を立証する
    第6段階
    相手にも実行可能であることを話す
    第7段階
    激励し、同意するよう促す
  • 時には、道場全体を叱ります。「自分のことではない」と思わせませないようにします。
  • 叱った後を見届けて、必ず激励します。事後に謝るのは禁物です。
  • 「子供は親の宝」です。体罰は基本的に禁止です。当然の事ですが、感情的になって「怒りの体罰」であってはなりません。子供の為を考えた冷静な「叱りの体罰」を心得て下さい。
  • 相手の性格・能力・意欲を見て叱り方を変えます。カンの鈍い相手には「ほのめかす」方法は通じません。能力の低い者には「助言的に叱る」ことが必要です。再三の叱りにもかかわらず、反省や改善努力の見られない者には「処罰する」などの断固とした態度も必要になります。敏感で高能力でやる気のある者には「ほのめかす」方法が効果的です。鈍感で低能力でやる気のない者には「指示的叱り方」でなければ通じません。<
  • 体罰の実施にあたっては、細心の注意と適切かつ効果的な方法が要求されます。
  • 安全で効果的な体罰として考えられるのは、  1.臀部(おしり)・太ももへの平手や掌底での「痛みはあるが、重い衝撃のない打撃」での体罰。
      2.適度の補強運動。3.壁に向かって正座。などです。
  • 怪我や障害がないように必ず配慮して、後に説明して、諭し、激励します。
  • 【教え方】
  • 「教育」ではなく「共育」と考えます。現在、指導的立場にある人も、多くの先輩の教えを受けて今日まで来たことを思えば、自分も後輩の指導に情熱を燃やす責任があると考えるべきです。
  • 「子供は親の後ろ姿を見て育つ」と言われるように、指導者の日常のありかたが重要であることを自覚して、自らの行動を正すことも忘れてはなりません。
  • 「教えることは二度学ぶこと」といわれますが、真の指導のためには、教えようとする内容を十二分に検討して習熟すると共に、教え方についても相当の研究と準備を欠かすことはできません。
  • 高い所から「教える」姿勢でなく、「同じ土俵の上で共に学ぶ」という謙虚な気持ちで働きかければ、相手も心を開き、共育効果も高くなります。
  • 愛情・根気・指導技術を結集させます。簡単に「無能」と見捨てません。指導は「何としても立派に育って欲しい」との期待や愛情が根底にあってこそ、成果が上がります。
  • 指導の成否は「根気」の有無で決まります。少々の働きかけで指導効果が確認されるならば、これほど簡単なことはありません。最後まで諦めずに指導してこそ指導者といえるのです。
  • 愛情をもって根気強く指導するだけでなく、「指導技術」も不可欠です。多くの人は「押し付け」を嫌い、忍耐強く教わることが苦手であるため、指導者側は「上手に教える」技術をもって接することが必要不可欠です。
  • 理想や目標をもつきっかけを与えます。目標をもってこそ「人間らしく」生きることができます。
  • 意欲をもって考え、目標を設定し、その達成方法を検討して計画が出来上がります。計画実施段階では創意工夫します。結果が成功なら喜びを味わい、失敗なら悲しみを味わいます。
  • この循環の中から「やりがい」も得られるのです。課題を与えながら、「創造する喜び」に目覚めさせます。
  • 技能は「教え方の4段階」で教えます。山本五十六元帥の言葉「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」の通りです。
  • 目標を設定してスタートします。相手の自尊心や存在感に訴えるような、目標を掲げます。
  • 技能の教え方4段階
    教え方
    第1段階
    習う準備をさせる 1.リラックス 2.説明 3.知識の確認 4.覚えたい気持ちにする
    第2段階
    内容説明 1.言って聞かせて、やってみせ 2.急所を強調 3.根気よく説明
    第3段階
    やらせてみる 1.やらせてみて、間違いをなおす 2.上手ならほめる
    第4段階
    教えた後をみる 1.一人でやらせる 2.質疑応答 3.上達の観察
    コーチングの5段階
    第1段階
    向上目標設定する
    具体的に向上のための方法を決める
    第2段階
    激励して工夫する
    継続、工夫するように激励する
    第3段階
    評価して見守る
    上達部分と上達程度を見守る
    第4段階
    必要点を助言する
    上達点と課題を明示する。助言、手取り足取り教える
    第5段階
    成果を認め、喜び合う
    上達振りをやさしい心で一緒に味わう。次の目標に激励する