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空手のコツC
空手に適した呼吸法はありますか?
空手だけでなく、日本古武術や柔術、そして禅などでも取り入れられている呼吸法"丹田呼吸法W(横隔膜呼吸法)がお勧めです。
人間の腹の中には、腹部と胸を仕切るドーム型の一枚の膜=横隔膜があります。
この膜が上がると、肺が縮み(吐く)、下がれば、肺が伸びる(吸う)。
この呼吸法が"丹田呼吸法Wです。
すばやく鼻から息を吸い、しっかりと横隔膜を下げて腸腰筋を弛緩させます。
わかりやすく言うと、自分の体を「注射器」のように動作させることをイメージします。
「注射器」の針を上向きに立てた状態を想像して下さい。
吸うときは、膝を緩め、肛門を下げて、体が真下に下がります。
(ピストンが下がってシリンダー内に空気が入ってきます)。
吐くときは、真上に肛門を吸い上げるイメージで、会陰を広げて引き上げます(骨盤底筋を収縮させます)。
一気に腸腰筋を収縮させて横隔膜を押し上げ、口から息を吐き出します。
(ピストンを上げてシリンダー内の空気を吐き出します)。
「吐くときは7(脱力)を吐き、3(力を入れる)を残す」ことを目安とします。
最後に「かっ」と吐き出す時、残り3で爆発(一寸力)を促します。
呼吸と動きの同調を特に意識します。前進時と技を出す時に吐きます。
動作の継ぎ目に吐いた反動で自然に吸います。
吸う時に下腹部に力が掛かり、腹が出るのが特徴です。熟練者は横隔膜を押し下げた圧力が腹の底まで達するので、丹田まで息が入ったように感じます。
そして、吐く時にも強い腹圧が掛かるのも特徴の一つです。
実は、横隔膜と腹筋と胸縮筋群が協力するため、吸う時よりも、強い腹圧が掛かるのです。
それゆえ、三戦や転掌などでは、技を出すときに吐き、引くときに吸うのが基本とされているのです。
丹田呼吸法の行い方
まずは、下丹田の位置を知っておく必要があります。下丹田とは下腹部のあたり、具体的にはおへそから握りこぶし一個分程度下がった位置のことを指します。
※ここでは順式の腹式呼吸法をベースとした方法を解説しています。
丹田呼吸法として逆腹式呼吸を採用している場合もあります。
椅子などに腰掛けてリラックスした姿勢をとります。
その際に、丹田を意識するために、拳を丹田に添えます。
肺の中の空気を出し切るイメージで、息を吐ききります。
その際に、丹田を意識して、下腹部をへこませながら息を吐きます。
息を吐ききったら、ゆっくりと鼻から息を吸います。その際に、丹田を意識して、下腹部を膨らませながら息を吸います。
息を吸いきったら5〜10秒程度、息を止めます。これを「胎息」と言います。
空気を身体の隅々に行き渡らせるようなイメージで息を止めます。(無理しない範囲で行ってください)
静かにゆっくりと息を吐いてゆきます(口からでも鼻からでも構いません)。
その際に、丹田を意識して、下腹部をへこませながら息を吐きます。
丹田呼吸法について学ぶと、とても多くの効果が得られる事が分かります。
例えば、心身のリラックス、疲労の軽減、肩こりや腰痛の軽減、冷え性の軽減、ダイエット、睡眠改善、便秘解消などなど。
あまりも多くの効果に繋がるので、逆に「本当かなあ?」と疑ってしまいそうになります。
でも実は、これらの効果の元を辿っていくと、大きなひとつの効果に行き当たります。それが「副交感神経の働きが活性化される」という効果です。
⇒1. 副交感神経の働きが活性化される。
⇒2. 副交感神経が働くと筋肉がほぐれる。(ゆるむ)
⇒3. 筋肉がほぐれると、筋肉の中を通る血液、リンパ、神経の流れがよくなる。
⇒4.血液やリンパの流れが良くなると、代謝や消化の改善に繋がる。
神経の流れが良くなると、身体の痛みやコリ、しびれの改善に繋がる。
以上のような流れで、前記に挙げたような各種の効果に繋がっていきます。
また、副交感神経が活性化されることで、交感神経が優位になりがちな現代人の自律神経バランスを整えることに繋がります。
自律神経のバランスの崩れは、様々な体調不良や病気のもとになり、自律神経がバランスよく機能することで、様々な体調不良や病気が改善されます。
最初は難しいですが、何度も繰り返していると、何となくコツが掴め、腹に力が入り、気合も太くなることが実感できると思います。
また、相手のパンチを腹に貰う時に、この呼吸法を使えば腹圧が高くなり、打たれ強くなります。
これを車のタイヤで例えると、腹筋運動で筋肥大した腹筋は、タイヤのゴムの厚みです。
自転車のタイヤとトラックのタイヤでは、ゴムの厚みが違います。当然、ゴムの厚いトラックの方が硬いです。
また、腹圧はタイヤの空気圧と同じような物で空気が充填されたタイヤとパンクしているタイヤでは、当然硬さが違います。
腹筋運動による筋肥大と、呼吸法による高い腹圧とで、打たれ強さが生まれるのです。
その他にも、呼吸法は精神統一、力の強弱、全身の一致、体の締め、技の集中、動きの硬軟など、様々な面と関連しています。
それら一つ一つを自らの鍛錬を通して、身に付けていくことが大切です。
他にも、息吹、のがれの呼吸があります。
呼吸のイメージ
1.眉間のあたりにある「上丹田」から、天地空間の気の全てを吸い込むようにして、鼻から息を吸い込みます。
2.鳩尾の上にある「中丹田」に下ろしてきます。
3.臍下三寸のあたりにある「下丹田」に下ろして留めて圧縮させます。それを爆発させます。
4.喉を締めて、無理な息吹音を作り出すことは無意昧です。
「息吹(いぶき)」(陽息吹)
1.不動立ち(力を抜いて頭を上に、うなじを伸ばします。胸を反らさず、自然に緩め、背中側はのびやかに伸ばし広げます。
尾底骨から背骨まで、身体を真直ぐに保ちます)。
2. 両手を外側から弧を描いて額の辺りで交差させ、大きく深く静かに下腹から胸まで息を吸い込みます。
3. 内八字立ちになりながら、会陰を広げて引き上げ(肛門を絞りながら)、全身の力線を内側へと 集中します。意識をもって身体の中心の下丹田に気を沈めます。
4. 爪先、鍾、膝、内股、警部、腹筋、胸部、脇、背筋、腕、拳、首、顎などの筋肉、下丹田に力を込め、次に膝下から指先に力を伝えるようにして胎息(下腹に息を留める)します。
5. 両手を熊の手のようにこわばらせて、拳を握りながら、自分の胸を十字に引き裂くようなつもりで肘から腰横に降ろしながら、決して喉を締めてわざと音を出そうとせず、「カーツ」と長く自然な音が出るほどに下丹田から絞り上げるようにして息を吐きます。
6. さらに肺に残った息を、「カツ」と吐き出します。吐く息と共に下腹に腹圧がかかり、腹部の血液 循環が強く促進されて、全身に気力が満ちます。
「のがれの呼吸・表」(陰息吹)
1.不動立ち(力を抜いて頭を上に、うなじを伸ぱす。胸を反らさず、自然に緩め、背中側はのびやかに伸ばし広げます。尾底骨から背骨まで身体を真直ぐに保ちます)。
2. 下から弧を描いて両手を前に伸ばし、掌を上に向けた状態から、小指と薬指で相手の襟を引っ掛けて肘を引きながら脇下に戻します。
「陰の息吹」で、音をたてないように鼻から息を素早く吸います。
3. 会陰を広げ、引き上げて(肛門を絞りながら)、全身の力線を内側へと集中して胎息(下腹に息を留める)します。
4. 掌を下に向けて、大気を下に押すように、肩を沈め、静かに(足裏から息を吐くような意識で)口から息を吐くことによって精神安定をはかることができます。
5. 相手と激しい戦いをした直後などに、相手から安全なところまで離れてから呼吸を整えるため の呼吸です。
「のがれの呼吸・裏」(陰息吹)
1. 不動立ち(力を抜いて頭を上に、うなじを伸ばします。胸を反らさず、自然に緩め、背中側はのびやかに伸ばし広げます。尾底骨から背骨まで、身体を真直ぐに保つ)。
2. 両手を下げて前に掌を向けた姿勢から、貫手の構えで肘を腺下に引き付けます。
3. その際に「陰の息吹」で、音をたてないように鼻から息を素早く吸います。
4. 会陰を広げ、引き上げて(肛門を絞りながら)、全身の力線を内側へと集中して胎息(下腹に息を留める)します。
5. 掌を下に向けながら、脇を締めてゆっくりと力強く指先を相手の腹に突き刺すようにしながら前に伸ばします。
胎息して意識を集中することによって、集中力を高める働きがあります。
6. 肘が伸び切る手前で、掌底を上に向けて下に降ろしながら、下丹田から息を吐きます。

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